67歳のAさんは永年偏頭痛に悩んでいます。漢方で有名な病院での治療･･･葛根湯や呉シュユ湯・・・も受けましたし、また頭痛外来にも通い、抗てんかん薬まで処方されて飲みましたが、眠気はきてもハッキリした効果はみられません。丁寧に聞いてみると、Aさんの頭痛の特徴は、目の奥に痛みを感じ、そこから偏頭痛にきたり、肩こりがしたり、また血圧まで上昇して180代まで上がることがよくあります。しかも、この血圧は降圧剤では下がらないのです。さらに、胃も弱く、強い薬は食欲が落ちたり、下痢や吐き気にきたりで飲み続けることができません。
私は、鼻･･副鼻腔炎の影響がないかを確認するために、後鼻漏や鼻づまり、イビキなどについての質問をしました。ところが、本人は全く鼻は悪くありませんという返事とともに、それらの質問でも異常を認められませんでした。ただ、一点だけのどが痛くなることが時々あるのみでした。
以上のことから、私は、目の奥の副鼻腔である蝶形骨洞の炎症によるものではないかと推測し、３日分の漢方薬をお出ししました。なんと、翌日には痛みが出なくなり、血圧まで下がっているのです。本人は、いつも目が見えずらくて疲れ、老眼鏡も痛くなるのでかけられなかったのが、かけられると大喜びです。
胃の弱い人に、葛根湯はだめですし、胃寒証によるものでなければ、呉シュユ湯も効果はありません。