永年にわたるアトピー性皮膚炎で、強いステロイド軟膏を使用してもかゆみは段々悪化するばかりで、皮膚は象のように厚くなり、薬の浸透性も効力も落ちている。本人の話では身体の表面が寒く、身体の中に熱がこもっていて、水分は冷たい水がほしいというのである。寒いので服を着るとそのうち蒸されるように暑くなり、かゆみを覚え、服を脱ぎたくなる。脱げば脱いだで、また寒くなり服をきたくなるという。皮膚は赤みを持ち、さわるとゴワゴワして、かなり肥厚して硬いのがわかる。本人も動かしたときにやわらかくないことがよくわかるというほどである。漢方も有名といわれるところはアチコチ行ったが、ほとんどが効果がないばかりか、悪化することが多く、そのためにやむをえず、ステロイド軟膏を使わざるを得ないということであった。
今までに飲んだ事のある漢方薬は、当帰飲子、消風散、十味敗毒湯、六味丸、清上防風湯、桂枝茯苓丸、白虎加人参湯などであるという。消風散、十味敗毒湯、清上防風湯は皮膚の表面から病邪を発表させて、つまり発汗させて取り除く漢方が入っている。そのため、汗をかいたりするとかゆみがます皮膚病には不適である。さらに、消風散、十味敗毒湯には皮膚の湿気をとる生薬が入っており、ジュクジュクして浸出液があるときには乾かしてくれて良いが、乾燥が強い時に服用すると、返って乾いて悪化するものである。六味丸は身体の陰液つまり身体を潤す水分が不足しているときに、水分を補ってくれて治すものである。ところが、この人は皮膚の乾燥はあるものの身体の中が熱く、外は寒いといっており、皮膚に水分不足はあるものの、体内に熱があるので、この熱をさまさないといけない。短絡的に潤いを与えればいいというものではない。それでは、白虎加人参湯はどうかというと身体の中の熱をとってくれてよいのであるが、身体の表面にある寒気には効果がない。当帰飲子は皮膚表面の乾燥からくるかゆみには良いがここまで、厚くなった皮膚のかゆみには効果が期待できない。桂枝茯苓丸は厚くなった皮膚を血オ・・悪さをする血とみなして使用する考えは一理あるが、生薬の桂枝が内熱をあおる可能性がある。
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