世の中には、人間を苦しめる色々な悩みがあります。今回の症例もその一つですが、この方もどこへ行っても治らないので、某超有名な漢方の病院を受診したそうです。漢方の流派にも、これまたさまざまあり、同じ患者さんをみても「わからない」ということがあるようです。
その主治医はこともあろうに、患者さんに「死ねば治るよ。」と申したそうで、診察が済んで、薬剤部から薬をもらい、お金を払ってから、調剤された漢方薬50日分をゴミ箱へ捨ててしまったそうです。
「死ねば治るよ。」とおっしゃる先生の診断は信じる訳にはいかなかったのでしょうね。漢方は、症状をお聞きし、診断に相当する「証(しょう)」を想定します。想定してから、そうだとすると、こういうことが患者さんの体に起こっているはずだと、確認の問診をいたします。想定と確認が一致すれば、判断にまちがいがないと、確証が得られる訳です。つまり、漢方の相談をしたからといって相談した相手の先生が、そのような見方をしてくれない先生であったら、選ばれた漢方薬も何が出てくるかわからない訳です。そして漢方は効果が出るのに長い時間がかかると思っていたならば、非常に不幸なことが患者さんに起こってしまうことになります。
今回の患者さんの訴えは、「股から下の足全体が汗をかいている訳でもないのに濡れている感覚があり、一日に4・5回もスパッツやパンツを換える。」というのである。湿っているわけでもなく、小便を漏らしている訳でも当然ない。冷え症であり、足にむくみがある。丁寧に聞くと、「雨の日に悪化し、夕方に悪化する。」とのことです。
漢方ではかぜをひくことを、風邪をひくと書きます。風という邪が体に侵入したことで、寒気や発熱の症状が出る訳です。湿っていたり、むくんだり、じめじめしたり、下半身に症状が出る性質のものに、湿邪(しつじゃ)があります。しかも湿邪の性質は下に沈む傾向があり、一日起きていると下半身がむくむことにも該当します。さらに湿邪は、雨の日に冷えを感じるように、冷えと結合しやすい傾向があります。そこで「お風呂に入ると、具合はどうですか?」と冷えと発散を兼ねた質問をしたところ、「具合がいいです。」という返事でした。
この方の症状は、寒邪と湿邪が合体した寒湿証(かんしつしょう)という判断をし、その漢方薬を処方しました。この難病?が一ヶ月後には、パンツだけ交換すれば良いだけになり、足先から徐々に良くなっている状態で、以前よりもむくみもとれ、歩行もらくになったとおっしゃっており、もうじき完治にいたるでしょう。
見えないものがみえるかどうかは、見る力がないからであって、常に研究をし、漢方の道を精進しなければならないと思います。
漢方専科
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